作品6
手ぬぐい額(340×890mm)なるものに出会っていつかこのサイズで絵を描きたいと思っていましたが、今回落水紙の作品展を開くにあたって横書きですが使ってみることにしました。
また、金色の絵具があることも分かってこれとコラボしてみます。
なお、金色の絵具とは決して本物の金は使ってません。黄色系の顔料に雲母の粉を加えて金属感を出しているものです。
金色を生かす下地の色といえば、紺・黒・朱色。
まずアクセントに朱色を置いて黒の下地を墨で塗ります。
次に落水紙を紺色に染めて貼ります。
朱の個所は落水紙を破いて被らないようにします。
いよいよ金色の着色にかかりますが、スパッタリングなど周囲に飛び散る可能性があるので新聞紙で防護します。
後は一気呵成に一発勝負!
作品7
金色に染めた落水紙を貼ったらどんな感じになるのかやってみました。
ベースは朱色と墨で景色を創ります。
そこに適当に破いた紙をフィーリングのままに貼り付けていきます。わずかに緑や赤で着色した紙をグラデーション風に付け足しています。
途中経過の写真を撮るのを忘れましたので、額に入れた完成写真を載せました。
作品8
「斬る」という行為を絵で表現できないかと模索した作品です。貼る紙の厚みがわずかでも3次元の切断された断面をイメージしてくれるのではないかと取り組んでみます。
斬る対象は岩をイメージして、下地は岩の内部の結晶を表現しました。
また、切断面の金色を置いていきます。
厚みを持たせるため落水紙は色の違うものを2枚重ねを予定して、一枚目は深い赤色、2枚目は紺色を用意します。
これは1枚目を置いた状態。
これは2枚目の紺色を仮に置いた状態。
下地も1枚目の色もほとんど隠れてしまって味気ないので、破いて下地が垣間見える様にします。
何となくひび割れた岩を切断したような雰囲気が醸し出せたでしょうか。
作品9
水彩画ではいつも白の表現に苦労します。そこで水面の白の表現に落水紙を使ったらどうなるか試してみます。
今回は水面の表現にのみ落水紙を使用します。
落水紙のちぎった部分が水しぶきのように見えるかチャレンジです。
使う落水紙は白と薄く青で着色したもの。
青は水の流れを強調するのに使用。
白は水が岩にあたって水しぶきが上がっている様子を表現しようとしてます。
下が完成図ですが落水紙の効果はそれほど極端には目立ってません。
思うことはやはり紙の白さに勝るものはないということでしょうか。
以前画材店で落水紙(らくすいし)を入手しました。
長らく放置していたのですが、今回これを活用しようと取り組んでみました。
落水紙とは、和紙の材料を混ぜ合わせる糊を多量に入れて漉いた薄い地紙がまだ湿めっているときに、水を噴霧状に落として小さな穴をあけ た紙です。
この落水紙に着色して貼り付けてみたら、どうなるかを試してみます。
落水紙1
まず、水張りしたキャンバスに落水紙の穴から透けて見えることになる色を塗っていきます。
次にキャンバスの上にアクリル板を置きます。
アクリル板の上に着色した落水紙を置いて位置を決めていきます。
そうしたら、落水紙を裏返して糊(アラビック液状のり)を塗っていきます。
乾かないうちにキャンバスに貼り付けます。
アクリル板は濡れ雑巾などで直ぐに糊を拭っておかないと後が大変になります。
落水紙を貼り付けたものです。
アクリル板の上に置いてみたときに単調になりそうなので、破いて隙間を開けました。
もちろん破いてから貼り付けています。
次に絵具をたっぷり付けた太筆で気の向くままに描き足していきます。
完成したものがこの絵となります。
透けて見える赤色がマグマのように感じられたので、地球誕生の頃の地殻生成をイメージして「黎明」と名付けました。
落水紙2
2作目です。
前作の赤色系に対して今度は緑色系で下地を作ります。
落水紙を貼り付けた段階です。
今回の落水紙はピンク色のものです。
今度は縦に破いて隙間も大きくしてみました。
下地及び落水紙の着彩色に負けないように墨汁を使ってみます。
筆につけた墨をたたきつけたり、垂らしてみたりして遊んでみました。
生命の誕生を連想しましたので「息吹」と名付けました。
落水紙3
今度は、前面に落水紙を貼り付けた後に絵を描いてみたらどうなるかを試してきます。
題材は大木の茂った葉の景色を取り上げてみます。
樹の幹を描き、葉の陰影を描き足していきます。
何となく葉の感じが出たでしょうか。
題名は「緑陰」としました。
落水紙4
さらに具体的な風景にこの素材は合うかどうか試してみます。
今回は棚田の風景です。
棚田の様子は左の写真を参考にしていますが、全体的にはかなりアレンジを加えていきます。
上の絵では遠景の山並みと近景の山や棚田の色合いがくっきりと分かれてしまったので、双方の色合いを互いに足して全体を馴染ませていきます。
前面の山と棚田周りに落水紙を貼った状態です。
棚田の水面には貼らずに置いておきます。
遠景の山並みにも落水紙を貼るか悩んだのですが、何事も経験なので貼ることにしました。
空と棚田の水面を除いて落水紙を貼った状態です。
落水紙がやや浮いたように見えるので落水紙に着彩します。
完成したものがこの絵です。果たして落水紙が効果的かどうかは何とも言えない処です。
題名は「紫鏡」としました。
落水紙5
最後にもう一枚チャレンジしてみます。
今回の題材は外灯に照らされた夜景の桜の木です。
心ひかれた景色でしたのでこれを何とか表現したいと思います。
外灯は左の絵のように本来眩しい光に隠れてうっすらとしか見えないのですが、樹の描画との対比を強調するため右の絵のように外灯の存在感を強めました。
作品では藍色のラシャ紙とアルミ箔を切り抜いて貼り付けています。
ただ、これ以上やると貼り絵になってしまうので加減が難しいです。
72歳のじいちゃんの趣味の水彩画を紹介しています。部屋の壁にかけて穏やかに眺められる絵を目指しています。