「風景画」カテゴリーアーカイブ

制作ブログ 南三陸神割崎2題

南三陸町の神割崎に行ってきました。
避けた岩の間から次々と波が打ち寄せてきて砕ける様が魅力的でずっと眺めていられます。
ちなみにこの岩の間が市町村界で左側が南三陸町、右側が石巻市です。

空はバチターブルー、山はリーフグリーン・ガンボージノーバ・ローズマダー・バーントアンバー等で着色、岩はフロブルーレッドシェード・ペインズグレイ等で下塗りします。
これらは背景として構図を固めていきます。
また、波のしぶき等はマスキング液をスパッタリングで散らしておきます。

次に主役である波を描き込んでいきます。色はコバルトブルー・オリーブグリーン・バーントアンバーの混色です。
押し寄せる波や波打つ水面などをよく観察しつつも雰囲気を維持して一気に筆を進めます。

山の樹々を描きます。
リーフグルーン・サップグリーン・オリーブグリーン・コバルトブルーヒュー・バーントアンバー等を使用してます。

岩肌を描き込みます。
今回は平筆でチャレンジです。
まず濃い色で岩の亀裂や影を平筆で描き入れ、少し乾いてからブルー系・グリーン系・茶色系の色を水気の多い筆で重ねていきます。
この手順で描くと割と簡単に岩肌の質感が表現できました。

最後に裂け目の上部の樹々を描き込みこの個所をクローズ、奥の空との連続性を切ります。
また波の部分を一層引き立てるため、手前の岸辺の部分をより暗くして完成です。

神割崎は年に2回2月と10月に岩の間から朝日が昇ります。
別バージョンとしてこの朝日が昇るときの絵を描きました。
テーマは朝日に照らされたピンク色の波しぶきや岩肌の表現です。
第1段階として水で湿らせた紙面に様々な色で全体に色を散らしていきます。

第2段階、樹々や岩を平筆で水面を丸筆で描き込みます。
第1段階とはガラッと絵の雰囲気が変わりました。
狙ったわけではないのですが、期せずして面白い感じが出てくるのが水彩画の醍醐味です。

光を主役にするため、周りを暗くして行って完成です。

制作ブログ 月夜桜

隣の公園の桜が外灯の明かりに照らされてきれいだったので写真に撮りました。
実際の眼ではもっとピンク色に染まっていたのですが、写真ではかなりオレンジ色になってます。
現場で絵にする構想を練っているときに空に月を配置すれば対比が面白くなるのではないかと気づき、では満月にするか三日月にするかと悩みましたが今回は三日月にすることにしました。

月の個所にマスキングテープを貼り、デザインカッターで三日月を切り抜きます。
さらに照らされて光る桜を表現したいのでマスキングインクを点々と要所に配します。
その上でまず下部の幹回り部分の暗がりを青色系で下塗りしておきます。

デザインカッターはこんな感じです。
マスキングテープだけを切って紙に食い込まないよう気を付けて使いましょう。

次に桜の花色を思いつくままに置いていきます。
その際に花のかたまりを意識しながら白い部分からピンク色の濃いところまで色のバリエーションを作っていきます。
少し桜らしくなってきました。

いよいよ夜空を描き込みます。月はマスキングしてあるので気にせず色を乗せることができます。
さらに要所に青色を差し込んで桜の花のかたまりを表現します。
また、より濃い青色をスパッタリングして画面に変化をつけました。

桜の木の幹及び枝を描き込んだところです。
これで大体のイメージが掴めるようになりました。

マスキングを外した絵の段階で気になったところを修正してきます。
・スパッタリングした赤丸部分の濃い青色が強すぎると感じたので少し弱めます。
・幹回りに青を注して少し暗くして夜感を出します。(黄緑枠)
・幹左(紺色枠)の個所に右側と同じオレンジ系の色を足してバランスをとります。
・上部の黄色枠の個所等夜空との境目に白で花を足して際が切れないようにします。
以上の微調整して完成です。

2025/4 「月夜桜」 M10